はじめに:
参照記事の7Mキラー for 21Mに対して実際に使われたり話に出ることはまず無い145キラー for 435を興味本位で実験してみることに。

7Mキラーほど145キラーが使われないのは、スタブのQは周波数が高くなるほど低下、イコール信号に対するロスの増加になるし、144を運用していても430には飛び込みにくいし145の3倍435をコンテストで聴く事もないからとはOMの弁。それを承知の上で、どうせやるなら435キラーをパラ付けしてスプリッターにできないかと思ったのはたまたま持っていた4極Fコネクターの使い道を考えていたから。トラップが短かいのも拍車をかける。

いざ回路図を描いてみるとどちらにアンテナを接続してもあまり関係ないようだし145も435もトラップされて意味が無いように思える。本当にそうなのかも実験することに。赤枠上が435キラー、下が145キラー。

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結論を先に:
OMおっしゃるほど145・435単独キラーにおける希望通過周波数のロスは大きくなく0.1~0.2dBと測定誤差程度。145がSWR1.64と若干悪いものの435ではSWR1.25とまずまずの成績。実際の運用では飛び込みが無いので使われないという部分が正解なのだろう。

興味深かったのは両フィルターのパラ付けで、アップリンクにおいて145出力では435の方が減衰量が大きく、435出力では145の方が減衰量が大きかったこと。どちらにしても減衰量が大きく、スプリッター・ミキサーとしては使えないのは予想通りだった。

145用435キラー:
ノウハウ蓄積の為に簡単な435キラーを先に実験することに。Qマッチをやった時の経験から、まずはいろいろな長さの同軸トラップでfcを測定してその1/4λを算出し、そこから同軸の電気長を差し引いて同軸以外の電気長を求める。15±2mmだった。捨てないで取っておいた失敗作が沢山あるのでデータ取りは楽だったが新規に始めるなら200mm位のトラップを作って10mmづつ詰めて5、6ポイントも測定すれば判るだろう。

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ちなみに使った同軸はすべて5C-FB。ワイヤーストリッパーの調子が悪かったのが幸いして網線だけ短くなっても芯線の長さで調整できることを発見。シースから5mmほどインシュレーターが見えているのはその為。

435trap1

同軸127mm、マーカー1:145、SWR1.64、-0.1dB、マーカー2:435、-28.8dB。

435用145キラー:
あれこれやっているうちに435の1/4λ2直なら半分の217.5の1/4λになるよう調整すればよいことに気付く。勿論435の0.41λがない状態で。実験を積み重ね131+131でいけそうだと判るが成り行き上130+133で丁度fc217.5になったので妥協。435の0.41λは、VF0.8で計算すると226mmだが245mmでfc145に。何で?

CIMG2584-1

145trap1

マーカー1:145で-30.9dB、マーカー4:435はSWR1.25の-0.15dB。マーカー2:290でSWR1.04、マーカー3:330で-15.7dB。この330で落ちる原因を調べたところ130mmの同軸とTコネクターだけにすると330キラーになることが判った。

合体させるとどうなるか:
両フィルターをパラ接続するとちょっと意外な結果に。写真は435用のS21測定で145出力は50Ωで終端。435出力を終端して145用のS21を測定すると予想に反して異なる結果が得られた。やってみたからこそ判った収穫の一つ。

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145用435キラー

marge145

マーカー4:435で-31.4dBだが肝心のマーカー1:145も-24.7dBのSWR32.2。145キラー単独の時と周波数は違うが、マーカー2:330とマーカー3:340にそれぞれロスとSWRのボトムがあるのは145キラーの影響と思われる。
435用145キラー

marge435

マーカー1:145で-29.8dB、通したいマーカー4:435は-6.4dBのSWR10.0。



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